サービスの整理
移設にあたって考えたことがある。
初めて自宅サーバを設置した時と変わり、クラウドネイティブの時代になった。何も自分でサービスを立ち上げなくとも、安価で良質なサービスが簡単に使えるのだ。であれば、何も自分で全てのサービスを運用しなくてもいいのでは?ということだ。
では www.magisystem.net で運用していたサービスは何だっただろうか。
- DNS(パブリック、および、インターナル)
- メール(SMTP、IMAP)
- ウェブ(PHP)
- SSH
ざっとこんなところだろう。
DNS
DNSはメールは切り離せない関係にあるので、メールと一緒に議論する。
メール
独自ドメインのメールアドレスを持っている以上、メールは捨てられない。ただ、自宅サーバからのメールはSPFを設定していても拒否されたり、迷惑メールに振り分けられてしまうケースも増えてきている。その点ではメールは自分で立てるよりも、きちんとリレーしてくれるメールサービスを使う方がいいように思う。個人のメールの他にはメーリングリストも運用していたが、LINEなどのSNSで連絡を取ることが中心になって以来、ほぼ利用されなくなってしまった。こちらは廃止しても問題ないだろう。
ウェブ
一方でウェブはかれこれ10年近く(いや、それ以上かもしれない)更新していない。ネタがないものあるが、かつて使っていた HNS のメンテが止まっていることと、Perlの更新やらなんやらで動かなくなったからである。そして、それを直してまで頑張る気もあまりない。ただ、サークルの方で wiki を運用しているので、それだけは存続させる必要がある。
SSH
SSHは…うん、サーバメンテのために必要なだけで、それ以外の時は別に必要ではない。
結論としては、結局全てを移行する必要があるということだ。
どこへ移設するか
移設の方法は大きく2種類ある。
- VPS(EC2などを含む)を立てる
- 個別のサービス(SaaS)を使う
- レンタルサーバを使う
VPS
実はP2Vは過去にチャレンジしたことがあった。しかし、当時はAWSにFreeBSDのインスタンスがなかったり、FreeBSD 3.x時代から引き継いできた /etc や /usr/local/etc をまっさらインストールしたFreeBSDに移行できなかったりと、いろいろと障害があって諦めてしまっていた。今ならばAWSにFreeBSDもあるので、移行はできなくはない。だが、やはり設定と /home の移行が最大の課題である。
そんな訳で、VPSは早々に候補から消えた。まあ、サーバを個別にいじりたくなったら、その時にVPSを別に立てればいいだろう。
SaaS
次に考えたのは個別のサービスである。メールでいえば SendGrid や Amazon SES だ。DNSなら Route 53 に任せるという感じである。こちらも調査を進めると、どちらかというとメーリングリストやメール配信のように送信することを重視したサービスであり、個人メールレベルの流通量には向いていないのではないかと感じた。それに、IMAPは別途立てる必要が出てくる。Gmailなどで独自ドメインを使う方法もあるが、GmailはGmailとして使いたいところもあるので、リスク分散として別にしたい。
レンタルサーバ
実はこれまで縁がほとんどなく、調査もロクにしたことがなかったのがレンタルサーバだ。すっかり「ウェブに特化したサービスなんだろう」という固定観念を持ってしまっていたが、調べてみると独自ドメインを使ってメールも使えるレンタルサーバがあることが分かった。ウェブはおまけ程度にして、メール中心で使うにしてもレンタルサーバは有力な候補になったわけだ。
いくつかのレンタルサーバを比較したところ、さくらのレンタルサーバならばメールの要件(独自ドメインが使えること)が満たせることが分かった。自宅サーバのSSL証明書にさくらのSSL(認証局はJPRS)を使っていて、アカウントも既に持っている。ただ、DNSはさくらのドメインに移管しないとさくらのDNSは利用できないようだ。独自ドメインを移管せずに登録した場合、レンタルサーバ用の標準的なレコードした設定できない。ちなみに magisystem.net はPSI Japanで20年前に取得したもので、それ以来ずっとそこで管理してきた。別にPSI Japanに不満はないが、PSIでDNSを運用するには別に費用がかかるようだ。であれば、この機会にさくらに移管してしまうのがいいかと思った。
最終的にさくらのレンタルサーバへ
実はさくらのレンタルサーバにすることにした理由は、試用期間があったことである。
試用期間の間にDNSやメールのテスト運用をすることができた。これで、移行計画や手順を明確にすることができた。また、チャットと電話による相談で、技術的な疑問点を払拭できたこともありがたい。試用期間中でも電話で回答いただけたのは大変助かった。
もう1つ、うれしかったのはさくらのレンタルサーバがFreeBSDであること。別にバイナリを動かす気は全くないのだが、同じFreeBSDの上に移行することで継続している気がするからだ。